オフィシャル・ホームページ開設記念 巴山萌菜=Re:versedロングインタビュー

引っ込み思案な巴山萌菜ではなく、積極的な自分がRe:versed。

  ドラマ「賭ケグルイ」のオープニングテーマ『一か八か』を歌っているのが、Re:versed。あざ笑うように、唸るよう、揺れる感情のままに熱唱する彼女。その正体は、シンガーの巴山萌菜。何故、巴山萌菜がRe:versedと名乗り活動を始めたのか。巴山萌菜とは、一体どんなアーティストなのか。その謎を、ここへ紐解こう。
 

「好きなことがある」「夢がある」ってすごく素敵なこと。

――シンガーとして活動中の巴山萌菜さんですが、2018年1月よりRe:versedというソロ・プロジェクト・ユニットとしても新たな活動を始めました。その経緯をお聞きする前に、萌菜さんが歌に目覚めたきっかけから教えてください。

萌菜  小さい頃から歌うのが大好きでした。でも、そんな小さかった頃のわたしはすごい引っ込み思案で、学校の授業でも、たとえ答えがわかってても手を挙げられなければ、自分から男の子に「おはよう」や「ばいばい」のあいさつも出来ない子でした。

  その姿を見かねた母親が、そんな引っ込み思案なわたしの性格を改善しようと劇団に入れたことをきっかけに、人前でしゃべったり、演技などの表現活動に楽しさを覚え始めていきました。しばらくして劇団を辞めたときに、改めて「わたしが一番好きなのは歌うことなんだ」と思えたんですね。

――そこから、歌の道を目指し始めたわけだ。

萌菜  いえ、「歌をやりたい」と思いながらも、そのための行動をするわけでもなく、想いだけを胸に秘めながらずっと学生時代を過ごしてきました。そんなわたしの気持ちを大きく変えたのが、弟の存在なんです。

  弟は、「全国高校サッカー選手権」への出場を目指すため強豪校へ入学し、高校時代はずっと寮生活を送りながらサッカー漬けの毎日を過ごしていました。そんな弟の姿をわたしたち家族はずっと応援し続けてきたんですけど、その弟が、ついに「全国高校サッカー選手権」へ出場する夢を叶えることになったんです!そして、家族みんなで試合を観戦しにいったときに、弟が仲間たちと気持ちをひとつにしてサッカーをしている姿や、絆を分かち合う様子が、わたしの胸にとても熱く響きました。そのときに「好きなことがある」「夢がある」ってとても素敵なことだと感じました。そのときの感動をきっかけに、「わたしもやりたいことに向かって、本気で頑張ってみよう」と思うようになりました。

――弟さんの存在が、萌菜さんの気持ちをも変えたわけですね。そこから、胸に秘めていた「歌いたい」気持ちを具体化しようと行動に出たわけだ。

萌菜 そうなんです。そこでわたしが最初に起こした行動が、音楽の専門学校へ通うことでした。幸い家族も、わたしが具体的な目標を持ったことを喜んでくれたのか、率先していろんな音楽学校の情報を調べては、「こういう学校で学んだらどう??」とか、積極的に応援してくれました。その支えがあったからこそ、わたし自身も好きなことへ夢中になっていけたんだと思います。
 

「夢があるのに勇気を出せない人」や「やりたいことがあるのになかなか前へ進めない人」、そんな人たちの背中をわたしの歌で押していけたら。

――ライブ活動を始めたのは、音楽の専門学校時代から?

萌菜  音楽学校を卒業してからになります。きっかけは、学生時代に出会った音楽の仲間たちに誘われたことからでした。その頃のわたしは、消極的な姿が出てしまっていたのか、作詞作曲や歌唱などを学ぶ勉強はしていても、実際にライブを行う勇気を持てずにいました。その姿を見かねたのか、仲間が「今度、こういうライブに出るんだけど、一緒にライブへ出ようよ」と誘いをかけてくれました。その誘いを受けて、わたしもライブの中で一曲だけ歌わせていただいたことが人前で歌い始めるきっかけでした。

  今でも、そう。いろんなきっかけを通して、人は自分を変えてゆくんだと思います。わたしの場合、そのきっかけをくれるのが、いつもまわりの人たち。それが家族や友達だったり。その支えには本当に感謝しています。

――人前で歌ったとき、どんな気持ちでした。

萌菜  正直、緊張したことしか覚えてないです(笑)。あのときはSuperflyさんの『愛に抱かれて』を歌いました。その曲を選んだのは、わたしに人前で歌うきっかけをくれた友達や、歌の道へ導いてくれた家族へ感謝の気持ちを返したかったからでした。

  そのときは「もっと人前で歌いたい」というよりも、「もっともっといろんな音楽の勉強をして、人の心に届く歌をしっかり歌えるようにならなきゃ」「聞いてくれる人にわたしの想いを届けたい」という気持ちだけでした。

――初めての経験で、「人に想いを届けたい」と思えたことは大きな手応えじゃないですか?

萌菜  「その歌に込めた想いを、もっと伝わるように届けたい」と、何故かそんな風に思っているわたしがいたんですよね。それは、言葉だけじゃ伝えきれない想いを歌うことで、ライブという場を通すことで、いろんな人たちと共有できるんだと実感したからなんだと思います。

  最初の頃は、純粋に歌うきっかけを与えてくれた家族や友達に想いを届けたくて歌っていました。小さい頃から引っ込み思案だったわたしなのに、いろんな人たちの支えや応援があることによって、こうやって大好きな歌を人前で歌えることにも繋がっているし、ライブを通して感謝の想いを届けることが出来ている。何より、「言葉だけじゃ伝えきれない気持ちを、ライブという場を通して、歌うことでその場にいる人たちと共有できる」。だからこそ、そこからさらに一歩前へと踏み出し、本格的にシンガーとしての活動を行い始めたんだと思います。

――その小さな一歩が、結果、今へ繋がったわけですからね。

萌菜  そうなんです。わたしは、わたしの歌で「夢があるのに勇気を出せない人」や「やりたいことがあるのになかなか前へ進めない人」、そんな人たちの背中を押していけたらと思っています。

――そうしてあげたい人の姿って…。

萌菜  歌を始める前のわたし自身かもしれませんよね(笑)。
 

一人でもわたしの歌を聞いてくれる人がいるのなら歌いたい。

――初めて人前で歌ったことをきっかけに、萌菜さんのライブ活動が本格化したわけだ。最初は、カバー曲を中心に歌っていたのでしょうか。

萌菜  その通りです。先に触れたSuperflyさんや絢香さんなど、自身が説得力を持って自分の歌を伝えてゆく、そんな表現力の豊かな歌声を持つシンガーの方へ憧れていたことから、そういう方々の楽曲を、とくにバラードを好んで歌ってます。

――オリジナル曲は、いつ頃から歌い始めました??

萌菜  自作の曲に関しては、学生自体に作った曲を何曲か歌っていますが、それ以外は今は自分では作っていません。作詞作曲自体は、音楽の専門学校時代から行っていました。人前でオリジナル曲を歌うようになったのは、わたしのソロ活動ではなく、ユニット活動を始めたときからでした。

――ライブ活動を始めた頃から、ファンという存在は現れていました??

萌菜  仲間と意気投合して一緒に曲作りを始める中でユニット活動が始まったのですが、その当初は、友達に声をかけて興味がある人に見に来てもらうという状態でした。でも、ひとりのライブや、友達のアーティストの路上ライブとかで何度かライブをしているうちに、次第にファンのようになってくださる方ができました。そこで、初めて友人以外の方が応援してくれるようになったのです。その経験もわたしの中ではとってもとっても大きなことでした。

  当時は冬の寒い時期だったりして、それでも寒い中、ファンになってくれた人たちは、ずっとわたし達のライブを観てくれていたんですね。その姿に感動を覚えて以降、わたしは「一人でも自分たちの、わたしの歌を聞いてくれる人がいるのなら歌いたい」と強く思えるようになりました。しばらくしてユニット活動もあまり頻繁には出来なくなって、そのうちふたたび自分一人で歌い始めることになりました。
 

「アイカツ!」を通し、間違いなくわたしの中に新たな歌の世界が広がりました。

――萌菜さんの運命を大きく変えたのが、アニメ&データカードダス「アイカツ!」の歌唱担当を担うようになったことですよね。

萌菜  わたしの「アイカツ!」に於けるライブ活動のスタートは、いきなり新宿FACEという大きな会場からになりました。しかも、舞台に上がった目の前には、奥までぎっしりのファンの皆さんの姿がありました。

  わたし、「アイカツ!」のお仕事を始めるまで、アニメやアニソンのことはまったく知りませんでした。だから初のステージで、ペンライトを振って熱狂する人たちの姿を見て、「こういう世界があったんだ」という嬉しい驚きがありました。何より「アイカツ!」を通し、間違いなくわたしの中に新たな歌の世界が広がりました。

――キャラクターの歌唱を担当ということで萌菜さんは選ばれたわけですが、当時から、ライブを行うことも知らされていました??

萌菜  はい、「アニメ内でキャラクターの歌を担当するのと、ライブ活動も行うから」とは言われてましたけど。まさか、あんなに大きなステージに立って歌うとは思っていませんでした。当時、何に驚いたって、仲間たちと一緒とはいえ、わたしがライブ活動に参加し始めた半年後にはすでに、「Animelo Summer Live」で埼玉スーパーアリーナのステージへ立っていたこと。今振り返っても、「あれは夢だったんじゃないか」と思えるような経験でした。

――キャラクターの立場になって歌うことについては、どんな気持ちでした??

萌菜  「アイカツ!」はひとりのキャラクターに歌唱担当と、声優さんが別々にいるので、「キャラクターに命を与える声優さんと近い位置にいるのかなぁ」とか「声優さんと二人三脚でがんばろう!」という気持ちでした。歌うときも、自分らしさではなく、そのキャラクターのイメージや曲が求めていた物語や世界観に合わせ歌うことをつねに考えていました。

――萌菜さんは、二人のキャラクターを担当していたんですよね。

萌菜  「アイカツ!」は、登場するキャラクターたちが成長してゆく物語。それぞれのキャラクターの成長に合わせた心情とわたし自身の気持ちを重ね合わせて歌っていました。

キャラクターが不安や迷いを抱えながらも歌をがんばる!みたいなときは一緒にわたし自身と思いもリンクしていた部分もありました。

  「アイカツ!」を通しいろんなタイプの歌唱方法を求められたことで、わたし自身が、表現力の幅を広げてゆく大きな経験を重ねることが出来たなと思います。

――キャラクターソングでは、本当に振り幅広い表現を求められますもんね。

萌菜  そうなんです。それこそ「かっこいい歌」から「セクシーな歌」まで、いろんなスタイルで歌わせていただきました。おかげで、「かっこ良く歌うにはどうすれば良いのか」など、表現方法を考えるきっかけをいただき、とても大切な経験になりました。
 

だからこそわたしは「やめたい」ではなく、「ここで培った経験を、この先の自分の活動へ繋げたい」と思いました。

――「アイカツ!」でいろんな歌唱スタイルを学んだことは、間違いなく今の萌菜さんの表現幅の豊かさにも繋がりましたよね。

萌菜  わたしは「アイカツ!」へ2年間参加しましたが、その2年間の経験は、間違いなく大きかったです。今のわたしの活動を応援してくださる方々の中には、「アイカツ!」を通して出会った人たちも実際に多いですからね。

――「アイカツ!」を通して萌菜さんのファンになった方々は、最初は純粋にキャラクターファンとしての応援だったと思います。それを通り越し、萌菜さんの歌声のファンにもなったのは嬉しいことじゃない?

萌菜  そうなんです。もちろん「アイカツ!」好きな方の中には、歌唱担当の名前までは知らない方もいます。そんな中、巴山萌菜というわたし自身にまで興味関心を示し、応援してくださる方々がたくさんいたことが嬉しかったんです。そのぶん、責任感も増し続けていたのですが。それでも、巴山萌菜を応援してくれる声が大きな自信になっていたのは間違いないです。

――萌菜さんは、「アイカツ!」での活動を約2年間で卒業。その道を決めた理由も教えてください。

萌菜  もちろん「アイカツ!」の活動は楽しかったし、先輩後輩もこえてメンバー同士も仲良くて、スタッフさんたちを含め、とても恵まれた環境で過ごしてきました。応援してくださる方々も、子供達から大きなお友達まで本当に幅広くて、とても良い経験や学びの場になっていました。だからこそわたしは、「やめたい」ではなく、「ここで経験させてもらったことを、この先の自分の未来へ繋げていきたい」と思いました。

  「アイカツ!」時代は、ソロ活動をお休みして「アイカツ!」の活動へ専念していたこともあって、いつしか心の中に「巴山萌菜にしか届けられない歌をいろんな人たちに届けたい」という気持ちがふくらみ出していました。「アイカツ!」の活動を通していろんな出会いや経験を重ねたからこそ、一番最初に抱いていた「人の心に届くわたしの歌を歌いたい」気持ちも改めて強くなってきたんだと思います。そこで新たな道を進もうと思ったのが、活動から2年を経過した時期なんです。そのタイミングに関しては、何か具体的なきっかけがあったというよりも、感覚的なことでしたけど(笑)。

――自分で「ここだ」と思える直感も大切ですからね。

萌菜  けっして「辞めたい」と思って辞めたわけでもなければ、もっと仲間たちと一緒にその時間を過ごしたい気持ちもありましたけど、自分なりに納得のいく活動を「アイカツ!」でやり切った意識もあったからなんでしょうね。だから、「このタイミングだ」と思ったのかも知れません。
 

わたし自身の軸となるスタイルは、今後どんな表現の振り幅を持ったとしてもぶれずにあること。

――「アイカツ!」の活動を卒業。「アイカツ!」を通して萌菜さんのことも応援してくれるファンの方たちがいるとはいえ、当時の巴山萌菜としては、1から新たに活動のベースを作り上げる形だったわけですよね。

萌菜 1からどころか、あらためて0からスタートの気持ちでした。「アイカツ!」時代からわたしを応援してくださっていた皆さんは、「これから巴山萌菜はどうなるんだろう」と、先のまったく見えないスタートに不安だったと思います。だけど、わたし自身は、先の自分の姿も全く想像できなかったですけど、未来への期待を持って踏み出しました。たとえゼロからの状態でも、気持ちは前を向いていましたし、そこは今も変わらないところです。

――前を向いた意識の成果が、今へ繋がりました。ここへ至るまでにも、約2年ほどの歳月を重ねてきました。ふたたびソロになってからは、どんな活動をしていたのでしょうか。

萌菜  今でもそうですが、ライブ活動を軸にしています。活動当初は、ふたたびバラードを中心にしたカバー曲を歌いながら。そこへ、少しずつ色々な作家の皆さんにお願いをしてオリジナル楽曲を増やしていくようになりました。

  最初のオリジナル曲の歌詞を、「アイカツ!」のときの担当キャラクターの曲をたくさん作詞していただいていた只野菜摘さんに書いていただきました。お話しを受けて下さったときはホント嬉しかったし、ファンの皆さんもすごく喜んでくれました。

――ソロ活動を再開してからも、アニメに紐付いた形も取っていましたよね。

萌菜  「アイカツ!」を通し、アニメやアニソンの魅力を知れたことがわたしの中では大きかったです。音楽系の同人イベントの「M3」や「コミケ」に参加したり。ニコ生で自主企画の番組もやっていました。ファンの方から巴山萌菜に歌って欲しいアニソンのリクエストを募って、それをニコ生の番組で届けたり。それらの曲をオリジナルアレンジでレコーディングしてCDにした「#もなリク」というカバー作品も作っています。 

――萌菜さんの場合、卒業以降も「アニソンの世界へ」にとはならなかったわけですよね。

萌菜  人の心へ想いを伝えるという面では、アニソンの世界だけでも出来たんでしょうけど、私自身から発信される歌をうたいたいという気持ちは譲れなかった。もちろん、「アイカツ!」を通して得た、シンガーとしての表現の幅も活かしながらなので、今後どんな表現の振り幅を持ったとしても、わたし自身の軸となるスタイルはぶれないようにしたいです。だからこそ、今回のRe:versedのようなことも出来るわけですし、同時にバラードを軸に据えたシンガー活動も続けられるんだと思います。

――最近では、絵と歌をミックスした動画もいろいろアップしていますよね。

萌菜  巴山萌菜として活動を始めた最初のライブで、ファンの方がフラワースタンドを贈って下さったのですが、そのときに私の似顔絵のイラストがアレンジされていて、とっても嬉しかったんです。

そんなことをきっかけに、Twitterで私の似顔絵のイラストを皆さんから応募してもらう企画をやったりする中で、何人かの方に、「#もなリク」のCDのジャケットを描いていただいたり、アイコンのキャラクターを描いたりしていただきました。そうしているうちに、イラストレーターさんや漫画家さんと作品でコラボレーションが出来たらと思うようになって、徐々にオリジナル曲が増えていく中で、私の歌がBGMになるような、漫画やイラストの物語を動画に出来たらと思ってこの活動を始めました。

曲に合わせて、作品を描いていただくのではなくて、対等のコラボレーションになるように、漫画家さんが感じたまま自由に物語を描いてもらうようにしています。それでもどの作品もわたしと漫画家さんが持っている世界観や、伝えたい気持ちが重なり合う内容ばかりなんです。これからも、こういったコラボレーション映像は作り続けようと思っています。
 

わたし自身の様々な歌声を表現してゆくプロジェクトにしようという想いから、Re:versedが誕生しました。

――萌菜さんは、巴山萌菜としてアーティスト活動を行っています。そんな中、今年よりRe:versedというソロ・プロジェクト・ユニットを立ち上げました。

萌菜  ドラマ「賭ケグルイ」のオープニングテーマのチャンスをいただいて、Br'zさんにアレンジお願いをしてレコーディングしました。ドラマの英勉監督から「くるったように歌って欲しい」とリクエストをいただいたので、かなり悩んだのですが、参考に見たアニメの「賭ケグルイ」の声優さん達の演技を参考にさせていただいて、わたしなりのくるった歌い方をしたところ気に入っていただけたようです。「アイカツ!」歌唱担当時代を思い出しながらも、今の私なりに歌ってみました。

  それでも結果、わたし、巴山萌菜自身が追求したいスタイルとはまったく異なる表現になってしまったこともあり、今後、こういったわたしが持つ様々な歌声を、気軽に表現してゆくプロジェクトを立ち上げてみようと思い立ち、Re:versedが誕生しました。

――今回は、先に楽曲があったんですね。

萌菜  はい。赤い公園のコンポーザーである津野米咲さんがドラマ用に書き下ろした楽曲があって、そのデモを聞き、わたしなりに解釈して歌いました。

  キャッチーで覚えやすい歌でありながら、不思議な曲調・メロディーの曲だと思いました。私は個性的な曲が好きなので、『一か八か』ははじめから大好きでした!

――むしろ、ぶっ飛んでいる印象を受けました。

萌菜  確かにぶっ飛んでいますよね(笑)。わたしが「くるったように歌って欲しい」と言われたように、津野さんにも英勉監督がそういう世界観を求めていたからなんだと思います。
 

巴山萌菜のライブの中で『一か八か』を歌ったら、その瞬間だけは、完全にRe:versedの世界観へ染め上がっていました。

――萌菜さん、「賭ケグルイ」の原作漫画は…。

萌菜  全部読みましたし、昨年放送になったアニメも全部観ました。わたし、こういうハラハラドキドキな展開の作品が好きなんです。勝負のためならリスクも惜しまない。そういうキャラクターが好きなので、「賭ケグルイ」の主人公である夢子ちゃんも…今回の『一か八か』のジャケットに描かれている子なんですけど、その子も、大好きです。

――歌詞にも、物語にも描かれていますが、「一か八かの真剣勝負」に賭ける意識を、萌菜さんはどのように捉えています?。

萌菜  何事にも本気で命を賭けて挑む姿勢が好きです。わたしも、歌の活動を続けていく中、今では人生を賭けて挑んでいるように、そこは共感を覚えるところです。夢子ちゃんの姿勢もそうですが、何事も中途半端な意識では駄目だと思います。もともと引っ込み思案だったわたしが、一か八かな意識を自分で持てるようになるまでにはかなりの勇気が必要でした。だからこそ、中途半端さを飛び越えてゆく強い意志持つことが大事だとわたしも感じています。

――『一か八か』を歌っているときは、普段の巴山萌菜ではなく、アーティストRe:versedとして歌っていたのでしょうか。

萌菜  はい。自分と楽曲をリンクさせるよりも、いかに「賭ケグルイ」というドラマと楽曲が持つ世界観をリンクさせるかが大事だと思っていました。わたし自身が夢子ちゃんの存在を意識して歌っていた面も大きかったと思います。

――萌菜さん自身は、巴山萌菜とRe:versed二つの世界観を異なる表現として楽しんでいるのでしょうか。

萌菜  そうしています。Re:versedの世界観は巴山萌菜が持つ世界観の中では歌えない…わけではないですけど(笑)。先日、ライブで始めて『一か八か』を歌ったのですが、その瞬間だけは、完全にRe:versedの世界観に染め上がっていました。それくらい異なる存在なんだと思います。
 

もう一人のわたしとして歌っていきたい=Re:versed。

――今後も、巴山萌菜とRe:versedの活動は平行して行うんですよね。

萌菜 両方続けていきたいです。何故なら、両方ともわたしだから。巴山萌菜ではわたしの素直な気持ちを発信して伝えてきたいし、Re:versedでは作品毎に求められるメッセージをわたしなりにの世界観で伝えていければと思っています。

――Re:versedのC/Wには、平井堅さんのバラード『LIFE is...』のカバー曲を収録しました。

萌菜  Re:versedではジャンルに縛られない表現をしてゆくつもりです。その中の一つとしてもちろんバラードもあります。今回に関しては、あえて巴山萌菜としての姿も対照的にお伝えしようと、巴山萌菜がこれまでにやってきたやり方であるバラードのカバーをC/Wにしました。平井堅さんは他の曲を以前からカバーさせていただいていたのですが、今回『LIFE is...』を選んだのは、大好きな歌だということと、なんとなく裏返しの意味で「賭ケグルイ」の世界にはまるかもと思ったからです。

――Re:versedという名前にも、いろんな意味を隠し持っているんでしょ。

萌菜  タロット占いの「逆位置」という意味の言葉です。巴山萌菜が「正位置」であれば、文字通りRe:versedは「逆位置」という関係です。どちらも巴山萌菜なのだけど、意味は反対。それと、「Re」にはふたたびという意味が、「versed」には熟練したという意味があるので、私のこれまでとこれからのことも折り込まれていたりと、その通り!実はいろんな意味や想いを、この名前は含んでいます。そもそもこの言葉を選んだ理由は、気づく方は気づくはずです(笑)。

――Re:versedは、そのときによって楽曲や存在のイメージさえ変えてゆく。。。

萌菜  そうしていこうと思っています。『一か八か』ではくるったように歌っていますけど。今後の出会い次第では、可愛い表情やセクシーな面など、いろんな姿を見せてゆくかも知れません。そういう可能性を拡げていける。むしろ、何でも挑戦出来るのがRe:versed。かつて引っ込み思案でそれを乗り越えた巴山萌菜ではなく、別人格で最初から積極的に攻めていく自分がRe:versedなんだと思います。
 

妖しく笑いだした瞬間にRe:versedとしてのスイッチが入るのか、その瞬間から巴山萌菜ではなくなっています。

――普段の萌菜さんは、Re:versedの姿をどのように見ているのでしょうか。

萌菜  正直「本当にわたしなのかな?」って思います(笑)。『一か八か』を歌い終えて楽曲を聴いたときにも、「え、誰??」となったくらい(笑)。だけど、自分でもそう思えるほど巴山萌菜とは異なる存在になれて歌えたように、それこそが正解なんだと思います。

――まさにRe:versedは、夢子というキャラクターへ憑依した姿ですからね。

萌菜 その通りです。レコーディングのとき、歌い始めたときはなかなかしっくり来なくて、ちょっと悩んでしまって。でも吹っ切れた瞬間があって、それからというもの巴山萌菜のときには考えられない歌になって、うれしくて飛び跳ねちゃったくらいでした(笑)。

――ライブで歌うときも、スイッチが入ってしまうわけですね。

萌菜 入ります。『一か八か』は、わたしのくるったような妖しい笑い声から始まります。笑いだした瞬間にRe:versedとしてのスイッチが入るのか、その瞬間から巴山萌菜ではなくなっています。

――『一か八か』の印象についても聞かせてください。

萌菜  アニメもドラマも、そう。主人公である夢子ちゃんは、くるったような様子が魅力のキャラクターでありながら、ときどき乙女な可愛らしい部分を魅せるときもあります。だから『一か八か』を歌うときにも、ある部分は可愛く歌ったり、すぐにその後に続く部分ではガラッと表情を変えたり、ちょっとした瞬間をセクシーに表現したりと、一曲の中でもいろんな表情を盛り込んでみました。『一か八か』一曲を聴いただけでも、いろんなギャップを味わえるところがポイントだと思います。個人的には、Re:versedで得た刺激が、今後はどんな風に巴山萌菜へ影響を与えてゆくのかも楽しみです。
 

巴山萌菜もRe:versedも表に出てるのは一人ですけど、「一人じゃない」と思えていることが何よりも嬉しいこと。

――Re:versedについて、巴山萌菜ファンの人たちの反響はどんな感じでしょうか。

萌菜  Re:versedを通して、ふたたびテレビからわたしの歌声が流れてきたことを喜んでくれてる声が一番多いんですけど。ただ、「えっ、あの歌声は萌菜ちゃんなの??」「何時もとはぜんぜん違うよね」とも、よく言われます(笑)。

――そのギャップこそが魅力ですからね。

萌菜  そうなんです。巴山萌菜にしか届けられない歌を巴山萌菜では歌いながら、Re:versedでは枠にとらわれず幅広く表現していきたいなと思っています。

  何より今強く感じているのが、一人じゃないってこと。こうやってファンの皆さんがわたしを支えてくれている。スタッフの皆さんもそうだし。巴山萌菜もRe:versedも表に出てるのは私一人ですけど、「一人じゃない」と思えていることが何よりもうれしいですし、そんな皆さんと一緒に、これからも歩み続けて行きたいと思います。
 

TEXT:長澤智典